SGノート

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有機ELの特徴とその未来

 こんにちは。寒い日も増えてきて、防寒をしっかりしないと風邪をひきそうですね。気を付けましょう。

 最近は、マイクロマウスでMATLABを使うための学習をしたり、先日ビッグサイトで開催されたオートモーティブワールド(併催:ロボデックス、ウェアラブル展)に行き見聞を広めたりしていました。

 展示会ではもちろん新技術の探索もするのですが、私は主に業界の雰囲気というか、はやりを感じるために行っているよう思います。初めてオートモーティブワールドに行ったが、展示量の多さにびっくりしました。展示会で出展されている内容を事細かに把握していくなんてことは、正直時間的にも体力的にも難しい。そうはいっても事前にあたりをつけたところは一通りまわることができたので、一応の収穫を得られたと思う。

 今回はその中で業界で流行っている有機ELディスプレイ ≒ OLEDに関する話を展示会&学習したことの記憶がホットな内に書き留めておきたい。

有機ELディスプレイって?

 有機ELについてどのようなことをご存じだろうか?

 私は最近までほとんど知らなかった。(というのも、表示系に関わる内容よりもロボット周辺の技術を好んで摂取しているから。そりゃいかんと一部の方々には突っ込みを入れられそうだが、ロボットやりたいのだから仕方がない。仕方ないのだ。)

 有機ELディスプレイとは下記のようなことがいわれている。

メリット

  • フレキシブルなため、様々な形状に沿わせることができる。
  • コントラストがいい(NTSC比 100%越え)
  • 自発光のため、バックライトがいらず薄型化に適している
  • 消費電力が低い(但し、全画面白になったりする場合はTFT液晶よりも大きい)
  • 応答性が液晶と比べけた違いにいい
  • 透明なものが作れる

デメリット

  • 同じ表示を長時間していると画面に焼き付きが起きる(電源を入れてなくても表示の跡が残る現象)
  • 輝度が高くない

1月初旬にラスベガスで開催されたCESでは、多数の国内・海外メーカが有機ELディスプレイを使ったものを紹介しているが、特にフレキシブルという点を推したものについてあげる。詳細についてはネットで検索してもらうと記事が多数出ている。

  • royole(ロヨル)社 表示面を折りたためるスマートフォン
  • LG社 巻き取りできるテレビ

 CES開催前から話題となっていたが、royoleの折りたためるスマートフォンには衝撃的だった。プロトタイプで携帯電話としてはデザイン等まだ精錬されていないが、表示面が曲がるということに関しては興味深かった。有機ELはフレキシブルで曲げられるとは頭ではわかっているが、実際にものができ、小さなRで曲げられることが実感となるといろんなアイデアがわいてくる。今後、様々なものに展開されていくだろう。

オートモーティブワールドでのディスプレイ展示からの感想

 一方、Automotive向けの展示会であるアートモーティブワールドで、表示機メーカの有機ELディスプレイ展示を見てみると、次世代ディスプレイとして候補に挙がっているため展示されていないことはないが、意外だったのだが液晶ディスプレイの展示が多い印象を受けた。

 液晶ディスプレイは有機ELディスプレイとは違い自発光でない。背面に導光板やLED、光学フィルムなどをバックライトASSYを有しているため薄くするにも限界がある。外装もフレキシブルでないため曲げも難しい。しかしながら、車載での信頼は十分で、有機ELディスプレイに勝っている部分(輝度等)もまだまだあり、さらに研究が進めば曲げられる液晶パネルや、ローカルディミングができるバックライトASSY、コントラストが上がったQLEDなどが実用化される。急激に表示器が有機ELディスプレイにガラッと置き換わってしまうということはなさそうに感じる。すでに有機ELディスプレイは高級車で採用されているようできれいなことはわかっているがAutomotiveで広がっていくにはまだまだ輝度や信頼性などの改善が必要そうだ。

有機ELによる未来

 課題があるのは確かだが、Automotive用途に限らず、有機EL技術は私たちの身近なものを変えられるポテンシャルを持っている。

 有機ELで構成されているディスプレイ、OLEDは内部の構造を(金属)高分子有機物で作り上げることができるそうだ。アクティブマトリックスTFTを構成する場合、それも有機物で作ることができるのかはわからないが、有機物で作れるというのには大きなメリットがある。

 高分子の有機物は世にどのようなものがあるかというと、プリンターなどに使われているインクがそれにあたる。つまり、有機ELをドット単位に配置することや配線をすることに印刷技術が応用できるということになる。日本連合のJOLEDが印刷でのOLED製造に力を入れている。印刷技術の何がいいかというと、

  • 印刷技術は他分野で進歩しており、確立された技術体系がある。(インクジェット、グラビア印刷凸版印刷凹版印刷など)
  • 別の製造方法である蒸着技術とは異なり、真空にしたり、大きな窯に入れたりすることがなく、大気圧化で行え、印刷がうまくできるようであれば、大きさに限界はない。大型化が可能。
  • 材料利用効率が高い。コスト的に有利。

などが挙げられる。この技術が発展し、素材や印刷コストが劇的に小さくなれば、近い未来にSF小説で書かれるように部屋の壁紙を好きなようにカスタマイズできたり、簡単に扱える電子ペーパーのようなものが実現するかもしれない。有機ELは我々の生活を変えうるだろう。

以上

 

次回はものづくりよりの話を書いてみようか。